第1章 夢の国?いいえ、とんだ大間違いです。 

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第1章 夢の国?いいえ、とんだ大間違いです。 

「ねぇねぇ、おはよ。そろそろ抱いてよ?」 「おはよー、毎日頑張るね。でも抱かないよー。」 まだまだ眠気半分な朝。学校までの道で後ろから腕にいつもの重みが絡み付いて、悩ましげに見上げてくる。うん、毎日このやり取りしてて飽きないのかな?頭をポンポン撫でてやれば可愛い顔がプクっと膨れて真っ赤になりながらプリプリ文句言ってる。尖らせたピンクの唇も上目使いの長いまつ毛もホント可愛い。 「ほらほら、そろそろ登校しちゃうんじゃないの?お迎えに急がないといい場所取れないよー?」 「もう!そうやっていっつも追っ払って。今晩その気になっても相手してあげないんだからね!?」 「うんうん、残念。転ばないように気を付けてねー。」 「バカ!大っ嫌い!!」 いつもの捨て台詞も走り去ってく背中も可愛い。人混みに消えていく背中を見送って、また眠気にフラフラしながら校門をくぐればすぐ側のグラウンドには早朝練習を終えたサッカー部が片付けの真っ最中。 「「「っせーの、抱かせろー!」」」 「いーやーだーよー。」 数人が俺を見付けて声を揃える。ヘラリと笑って手を振れば野太い雄叫びがあがって、うるせー!と離れたとこから部長のミドルシュートが炸裂、そのうちの一人に当たった。あ、今日は同じクラスの堀ちゃんか。 「おはよー。今日の1時限目、古文だよ。急いで堀ちゃん。」 「いや…、痛くて動けない!助けて…」 地面に崩れ落ちたクラスメイトがほんの少し哀れで、サイドラインまで近付けば残ってたサッカー部員達に囲まれてちょっとビクついてしまう。顔には出さないけど…。うずくまったままの堀ちゃんに声を掛ける。 「助けらんないよ俺。どこが痛いのさー?さっきボール当たったとこ?保健室行く?」 「優しい!行く行く!んで、俺のココ癒して!!」 元気に立ち上がった堀ちゃんが股間指差した。ボール当たったのそこじゃないし、ちょっと堀ちゃんの堀ちゃんが元気だし…。 「…朝からセクハラー。俺、切ない。」 「おい、堀!何やってんだよ!?」 「マジふざけんな!」 「可哀想だろ?シネ!!」 顔を両手で隠してわざとらしい泣き真似すれば周りの部員に総攻撃の堀ちゃん。もう心配して損した。涙目でもうやめたげて?と皆を見回せば全員がグッと息を飲んで真っ赤になって股間押さえた。 「お前こそセクハラじゃん。」 見てなかった堀ちゃんが察したように呟いたいつもの朝。
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