Awakening ~prologue

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最初からいた七人のうち、吉池首相と軍服の男を除く五人が腕を差し出す。その顔は一様にひきつっていた。 「総理? これはいったい?」 「林田くん。少し黙ってってくれんかね?」 「いや、しかし……」 さらに言葉を続けようとした林田に、すぐ隣に立っている若い兵士が銃を向ける。 「ひっ……」 林田は小さく悲鳴をあげると、そのまま両手まで上げた。 「それではみなさん腕を出して」 吉池に促され、全員が渋々それに従う。 すると白衣姿の男が背後から前に出てきて、一人ずつ注射を始めた。 林田はただ事の成り行きを、不安な気持ちで見守ることしか出来ない。 そしてついに自分の順番が来た。 子供のころから注射をされるのは好きではない。 林田は自分の腕に注射針を刺される瞬間、ギュッと固く目を瞑った。
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