yellow heart

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「やっぱりここにいた」   丁度、頭上で足音が止まり、影を作った。   「・・・ユズキ」   きっちりと編まれたおさげ頭が微笑みながら、俺を見下ろしていた。幼馴染みの坂下ユズキだ。   「優等生が・・・サボっていいのかよ」   むくりと起き上がり、ベンチの上にあぐらをかくと、ユズキははいとカフェオレの缶を俺に差し出した。温かい缶を彼女の手から受け取ると、彼女は微笑んで俺の隣に座った。学生カバンを傍らに置き、スカートを直す。着ていたコートのポケットから自分の分のミルクティーを取り出した。   「時間見た?もう放課後だよ。問題児のキンジくん」   プルタブを開けるのに手こずっているようなので、貸せよと缶を受け取り、プルタブを押し開けた。空いた缶をユズキに渡すと、「ありがとう」と笑顔を見せた。     暫らく無言のまま、缶を口に運ぶ。どこらか風が吹いてきて、ガサガサと足元の落ち葉をさらっていった。   「またケンカしたの?」   悲しそうにユズキが訊ねる。   「あぁ・・・これか?」   俺は学ランの袖で口元を拭った。ぴりっと痛みが走り、思わず顔をしかめる。
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