yellow heart

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  港近くの貸し倉庫が並ぶ一角に出た。コンテナが等間隔に並び、それぞれに番号が振ってある。コンテナが並ぶ奥に倉庫が一列に並んでいた。   「7」と番号のついたコンテナの前にオウスケはいた。影からその先にある倉庫を見張っていた。   「オウスケ」   俺が声を掛けると緊張した面持ちで倉庫を睨んでいたオウスケの口元が緩んだ。   「キンジ、来たか」   ふっと笑う。   「お前、午前中、KIDの奴らを病院送りにしたらしいな。派手に暴れやがって。だから髪型変えろって言っただろ?目立ち過ぎるんだよ。そのキンパツじゃ」   怒っているようだが、口調は愉快そうだった。その証拠に、少し長めの前髪から覗く瞳は笑っていた。オウスケは蒲高に通う同級生で、雷音の頭だった。 その甘いマスクとモデルのような細い体とは裏腹に、一旦キレると手を付けられない位の暴れん坊だ。細いけど引き締まった体から繰り出される拳が急所をつくと、食らった相手は悶絶する。また先代(卒業生)から時下に頭に選ばれてただけあって、相当な切れ者だった。   雷音とKIDの抗争は俺の知る限りずっと前から続いているけれど、1人を全員でリンチしたり、武器を使ったりと卑怯な手を使うKIDの奴らと拳でやり合うオウスケを、俺はタメながら尊敬している。   「トレードマークを変えるつもりはねぇよ。しかも不意打ち食らったんだ。1発殴られたし。正当防衛だ」  
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