月下舞踏

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よく見ると靄から、複数の人影らしきものが浮かんでいた。 「そう簡単には行かないかぁ」 「ほら、"お客さん"が出たわよ?」 腕を組む瑠華に、楽しそうに笑う輝螺。 「そういえば…"お客さん"って一体何でしょうか?」 「それは、ウチが知りたいわ…」 率直な疑問を呟く沙耶に、疲労感よろしくの表情で溜め息を吐く由良。 各々違う反応だが、影から視線を外さなかった。 得体の知れない影の正体を見極める者たち…、先の展開に想いを馳せる者… 「じゃあ…輝螺は2人をよろしくね?」 「えー、私の獲物なのにぃ~…プイッ(笑)」 「こらこら、拗ねたフリしないの(苦笑)」 全く緊張感のなさそうな2人の会話だった。 だが、"なさそうな"という割には2人に隙はなかった。 「…え?アレって人…ですよね?」 靄から現れた姿に控えめに沙耶が呟く。 4人の前に数人の男性らしき者が、こちらに近付いて来る。 しかし、何かがおかしい…、と異常を感じ取った由良と沙耶を見た輝螺が、クスクスと笑っていた。
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