平凡

2/5
前へ
/8ページ
次へ
それは確か、春のことだった。 ちょうど絵を書きに崖に行ったんだっけ。 「あ――!!!!」 誰かが俺の姿を見て声をあげた。 そりゃあそうだ。 立ち入り禁止なうえに、絶対人なんかいないところに人がいるんだから。 「ちょ!そこのひと!」 「...なに?」 ものすごく焦った感じに俺を呼び止めたのは、一人の女子だった。 「思い詰める必要はないよ!?きっと!だから、戻って!」 ...はぁ? 全くもって意味がわからない。 なんでそんな必死な顔してるの、なんでそんな焦ってるの。 理由がわからない俺は、自分の置かれた状況を整理した。 俺は絵を書きに来た。 崖に。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加