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それは確か、春のことだった。
ちょうど絵を書きに崖に行ったんだっけ。
「あ――!!!!」
誰かが俺の姿を見て声をあげた。
そりゃあそうだ。
立ち入り禁止なうえに、絶対人なんかいないところに人がいるんだから。
「ちょ!そこのひと!」
「...なに?」
ものすごく焦った感じに俺を呼び止めたのは、一人の女子だった。
「思い詰める必要はないよ!?きっと!だから、戻って!」
...はぁ?
全くもって意味がわからない。
なんでそんな必死な顔してるの、なんでそんな焦ってるの。
理由がわからない俺は、自分の置かれた状況を整理した。
俺は絵を書きに来た。
崖に。
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