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なのにお盆に乗せられたそれは、どうみてもラムネだった。
「なぁ、お前名前は?」
瓶を持ち上げると、涼しげにカランとビー玉が鳴る。
「私は愛島美桜。あなたは?」
「俺は森島茜。」
俺がぐっとラムネを呷ると軒先の風鈴が揺れる。
「茜、はどうして崖にいたの?」
「あの崖に、心友って銅像があるだろ?」
「!!知ってるの?」
「..もちろん。美桜も知ってたんだな」
「......あれは大切なものだから。」
ふと美桜の顔に陰がさす。
「...私ね、前世の記憶みたいなのが残ってるの。」
「なにそれ」
美桜の話をまとめると、
美桜には前世の記憶がある。
その前世で美桜は大切な人となにも知らず別れてしまったらしい。
それを解決したいがために未來屋に来たという。
「このレモネードを飲むと不思議な事がおこるんだって」
「...ふぅん...。」
なぜだか意識がだんだん揺らいできた。
同時に、心地よい睡魔が襲う。
でも、
そこまでその人が気になるのか。
今どうしているかもわからない、下手したらもういないかも知れない人に必死になるなんて。
......すごいな。
そこで俺の意識は途絶えた。
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