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◆◆◆
現在、放課後。
弘樹は体育館裏に来ていた。隣のクラスの女子に呼び出されたのだ。
弘樹は予想がついていた。今から自分は告白されるのだと。
弘樹は自分が美形であることくらいは自覚している。だが、性格は冷たいと自負していた。だから、容姿だけしか見ない女子たちに嫌気がさす。
「弘樹くん」
顔を真っ赤にした女子が弘樹を後ろから呼ぶ。
「あ、あの! もう分かってると思うけど……私、弘樹くんが好きです! 付き合ってください!」
「嫌だ」
「っ──少しだけでも考えてください!」
「だから、嫌だって。考えるまでもない」
「お、お願いします! 私、一目惚れなんです!」
「尚更嫌だ」
何回断っても目前の女子は立ち去ろうとしない。涙目のくせに──と思いながら弘樹は隠しもせず溜息を吐いた。
「ヒロくーん!」
別の高い声が体育館裏へと現れた。女子の制服を着て少しメイクをしている可愛らしい女子。
弘樹はこの女子をすぐに察した。同時に溜息を吐いた。
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