プロローグ

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こんな人いた? ……それにどうして日本語を喋れるんだろう。 警戒に顔を強張らせる私たちに、老人は大きな目を柔らかく細めてニコリと笑った。 「私は現地ガイドをしていて、日本語は得意なんですよ」 まるで心を読まれたかのような気持ちになり、ドキンと鼓動が跳ねた。 この人もガイドさんだったんだ。 なんだか不思議な雰囲気。 「ピラミッドはいかがですかな?」 柔らかく目を細めてそう訊ねた老人に、我に返って顔を上げた。 「え?……ええ、来て良かったです。ピラミッドってやっぱり本当にすごいと思いました。太古の昔にこんな物を建ててしまうなんて信じられない」 「うん、どうしてこんな大きな物をクレーンもない時代に作ることができたのか、不思議だよね」 二人がそう答えると、老人は愉快そうに微笑んだ。
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