プロローグ

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「普通、第一王妃の息子が王になるじゃないの?第一王妃には息子はいなかったの?」 そう訊ねた雄太に、老人は深い溜息をつき目を伏せた。 「いいえ、第一王妃にも立派な息子がいました。 名をネフェルマアトといって勿論、王位第一継承者と言われていました。 ……ですが数々の陰謀と悲しくも皮肉な運命により、結局は第二継承者であり弟のクフ王子がファラオとなったのです」 やりきれないようにそう告げた老人に、私たちは顔を見合わせた。 「……悲しくも皮肉な運命ってなんですか? 何があって、第一継承者のネフェなんとさんじゃなくて、第二継承者のクフ王がファラオになったんですか?」 そう訊ねると老人は笑みを浮かべ、試すように私たちの顔を交互に見詰めた。 「……少し長い話になるかも知れませんが、聞きますかね?」 その言葉に私たちはまた顔を見合わせた。
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