第一章 ナイルの川岸で

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そんなイシスの耳に、カンカンと鉄を打ちつける音が終始届いていた。 この音は町のお祭り騒ぎではなく、裏の作業場で父が鉄を打ちつける音だった。 鍛冶屋の音。鉄がはぜる音。 イシスはこの音が好きだった。 炎にくべられた熱い鉄を打ち、いつしか美しい剣へと変化していく工程を見るのも好きだった。
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