5035人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女達の背中を見送り、
イシスは「さて洗濯しなきゃ」と洗濯籠を手に部屋を出た。
すると、居間で寛いでいた母は、その姿に目を丸くした。
「イシス、そんな籠持ってどこに行くんだい? 帰還祭は?」
「洗濯物が早くに終わったら行くわ」
「洗濯物って、お前、花束贈呈に選ばれたんだろう? 早くから準備しなくていいのかい?」
「あー、はいはい、帰って来て気が向いたら準備します」
イシスはあしらうようにそう言い、そのまま家を出ると、
「洗濯なんて明日でもいいよ!」
と母親が大きな声を出していた。
イシスはそんな母の声を無視して、洗濯籠を持ちながら、
ふんふんと鼻歌を唄いつつ軽い足取りでメンフィスの町を歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!