第一章 ナイルの川岸で

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木陰ではラクダが気持ちよさそうに居眠りをし、子供たちが笑い声を上げて元気に駆け回る姿も見受けられた。 活気のある町の様子を楽しそうに眺めていると、イシスの姿を見かけた町の人々は、「やぁ、イシス」「相変わらず綺麗だね」と声をかけて来た。 「ありがとう」 と笑顔を返すと服飾店の店員が、 「もっと華やかな服を着たら、更に美しくなるよ」 と入荷されたばかりの赤いドレスを手に取った。 イシスは楽しそうに笑い、 「これ以上は罪だから、このままでいいわ」 といって自分の白いシンプルなワンピースを指先でつまみ、皆に手を振った。
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