第一章 ナイルの川岸で

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飛行船を眺めながら、 ――浮かれすぎはどうかと思うけど町に活気が出るのはいいことね、 と頷きつつ、メンフィス広場から南道を歩き、ナイル川を目指した。 大きく美しいナイル川は、遠くからでも水面が輝いているのが見て取れた。 やがてナイル川ほとりに着き、オリーブの木が密集する木陰に入りこみ、草の上に籠を置いたあと、ゆっくり体を伸ばした。 ここは静かで人気がないお気に入りの場所だ。 イシスは「よし」と奮起して、せっせと洗濯を始めた。
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