第一章 ナイルの川岸で

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洗濯に精を出しながら賑やかだったメンフィスの町を思い出し、町が元気なのは嬉しい、と小さく微笑んだ。 今、エジプトは他の追随を許さぬほど繁栄し、その栄華を誇っていた。 だが憂いが何もないわけではない。いつの世にもあるであろう、宗教紛争……紛争というほど表立ってはいない、所謂、冷戦のような状態が国を乱していた。 そう太陽信仰『ラー』と星信仰『オシリス』。 二つの宗教冷戦は次第に激しくなって来ていた。
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