第一章 ナイルの川岸で

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「君は『ラー』の信者?」 「そんなんじゃないわ。神様は信じるけど、それを太陽とか星に限定したりしない。太陽も星も月も大地も、この世のすべてが奇跡的な神の所業だと思っているし、何より大事なのは争わないことよ」 キッパリと言い放つイシスをマジマジと見ながら、「本当に驚いた、君は美しいだけの人ではないんだね」と心底感心したように目を輝かせた。 「それよりも、早く返して!」 イシスが手を伸ばして睨むと、彼は「そうだね」と呟き、 「キスしてくれたら返してもいいよ」 とイタズラな子供のように微笑んだ。
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