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ヘレスは、おお、と声を上げ、クフに抱きついた。
「たかがネフェルが帰って来ると言うだけであの町の騒ぎ!許しがたいことです。まるで王が帰国するような騒ぎではないですか」
憤慨するヘレスとは対称的に、クフは愉快そうに笑った。
「兄上は第一王子です、王と同等であってもおかしくはないでしょう」
「何をお前がのん気なことを!時期ファラオはあなたなのですよ。あんな外国宗教派の王子が次期ファラオなんて許しがたいことです!」
ヒステリックな声を上げるヘレスを見て、クフはまた笑い、
「それは残念。ワタクシは王座なんて興味ありません。たくさんの美しい妻に囲まれ、毎日美味い物を食べ、それはそれはとても幸せでございます」
と胸に手を当てて頭を下げた。
「クフ王子!」
金切り声を上げるヘレスを無視するように、クフは高らかに笑いながら部屋の外に出た。
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