第一章 ナイルの川岸で

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イシスは『やれやれ』と息をつきつつ無理やり手渡されたドレスを着て、唇に紅をさした。 「化粧って口紅しかつけないからね」 そう言いながら部屋から出て来たイシスに、両親は目を見開いた。 光沢のある玉虫色シルクのドレスに艶やかな黒髪、キラキラと輝く大きな蒼い瞳を見て、父は感激したように、 「私の娘は、なんて美しいんだろう」 とイシスを抱き締め、母はいそいそと首にサファイアのネックレスをかけた。
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