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当時の僕の褒め言葉を、彼女は悲しげな顔で受け取った。
バカな僕はその意味を理解していなかった。
「…やっぱり蒼空くんは何も分かってない」
「え?」
「私がどんな思いであなたと付き合ったのか。どんな思いであなたの浮気を許したのか」
「っ、えっと、」
「…蒼空くんなら分かってくれてると思ったのに」
彼女はそう言って目を伏せた後、無表情で僕を見つめた。
そして、
「さようなら、蒼空くん。好きだったよ」
そう言って僕の前から姿を消した。
あの日以来、彼女は学校に来ていない。
手を払ってしまった僕を恨んでいるのかは分からないが、たぶん恨んでいると思う。
…いやもしかしたら、恨むこともないのかもしれない。
無関心、それは恨まれるより嫌われるより辛いこと。
でも彼女にとっての僕はその程度だ。
いつか彼女に会えたら。
そしたらあの時より大人になった僕は前より君のことを幸せに出来る自信がある。
自信っていうよりしなくてはならない義務だ。
だからもう一度、その手を伸ばしてくれるなら、
今度はずっと掴んでいるから
end
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