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※ネーター←
「俺に、名なんてありません。」
そう言ったのは、目の前にいる人外だった。
「名が無いって…お前一応人間…だろ?」
「いえ、俺は狼です。」
「じゃあ狼男ってわけか…。」
「貴方は?」
「俺は見ての通り幽霊だ。」
俺の足元を見て特に表情も変えずそいつは続けた。
「貴方は、名あるのですか。」
「ああ、あるよ。俺は幽騎だ。」
「ゆう、き…さん…。」
「……お前には名が無いんだったな……あ、ロウってのはどうだ?」
「ろう?」
「ああ、オオカミと書いてロウだ。ただ読み方が変わっただけだけどな。」
「ろう…っ!!」
そう言って狼はすごく嬉しそうにした。
それ以来だ。彼がよく俺に付きまとうようになったのは。
「……幽騎さんって、動物好きなんですか?」
「ん…?まあ、そうだったかな。」
「だから俺の名前も鼠何スか…。」
「いや、それは猫田が付けた。」
「にゃーっ!!ネズミちゃん大好きーっ!!」
「うっわ…来んなっ…!!!ですっ!!!!」
「敬語付けても遅いよー?」
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