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「さて、用事も済んだし帰るか」
「はいよー、それにしても案外早かったね。 あれだけの列じゃ結構かかると思ったのに」
「あー、なんか店員さんのレジ捌きと言うか、客捌きが神がかってたわ」
あのレジの店員さんのレジ打ちといい、笑顔といい……店員の鏡のような人だったな。 何よりポニテで可愛かった!! ……もちろん女性だったぞ。
俺達は書店を出ると、再び人だかりの中を歩きながら歩いてきた道を戻り始める。 先ほど通ってきたゲームセンターの横を通り過ぎる時、ふと横目にいかにもチャラそうな3人の男が見えた。 壁際に追い詰められているのは栗色の髪を頭の上で束ねた、いわゆるポニーテールという髪型をしている女の子だった。
そう言えば、例のあの子も栗色のポニーテールだったなぁ、なんて。
「なぁ、あれって恒例のナンパか?」
「うん、あれは恒例のナンパだね」
「若干……というか、女の子かなり迷惑そうにしてないか?」
「うーん、迷惑というか……威嚇というか、怯えというか……、まぁどちらにしても、嫌な思いしてるっぽいね」
俺と健治が話している間にも男達は女の子の拒絶オーラが分からないのか、どんどん女の子に近付いていく。 もちろん、周りの人達も見えていないわけではなく、面倒なことに関わりたくないのであろう、見て見ぬふりをしている。
……正直面倒なことには関わりたくないんだがな、流石にあれだけ女の子の嫌そうな表情を見て、我関せずで立ち去るのは気分が悪い。
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