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時代背景
王家何代にも及ぶ格式は、ここ数十年でとある大きな変化を見せた。
“格”の差である。
特にこの王国は四大国家の中で最も大きな変化を見せていた。その理由は多くの戦争を歴史に刻んでいるからだ。
およそ百五十年前、他国への侵攻を目的としていたはずの旧ゴードリアス帝国で大規模な内戦が勃発した。
独裁政治に対する反逆ーーレジスタンスだ。
レジスタンスは一丸となって帝国軍を退け、新たな大国を作り上げた。
スローラル王国。
四大国家で旧ケルセンス王国(現ニューセンス王国)に次ぐ二番目に建てられた王国であった。
貴族の身分制こそ変わらないものの、他国への侵攻を取り止めて保守を貫く、やや平和な大国家が出来上がったーーはずだった。
王国制になったスローラル王国を奪い合うように、南北の大帝国がスローラル王国を挟んで戦争を始めたのだ。
幾つもの村が戦火に飲み込まれ、王都にも侵略の手がかかり、王国は絶望の色を見せていた。
そんな時、四人の英雄が各地で挙兵する。
彼らは他国からの軍をことごとく退け、やがて団結し、それぞれの魔法の属性を上手く利用して戦い始めたのだ。
同じ志を燃やして戦い続けた結果、スローラル王国は南北の二大国を圧倒して見せた。
そして覇権を手に入れたスローラル王国は、二大国に呼び掛けて四大王国国家を完成させたのだ。
やがてスローラルに設置されたのが、四大貴族。
彼らは軍隊のリーダーを支える四人の戦士だった。王政になって年月が浅かったスローラルはその四大貴族を軸に現在の世の中を作り上げて行った。それを他の三大国が追従するように模倣したのだ。
その時に始まったのが貴族文化。
簡単に言えば、“貴族は偉い”という風潮だ。
平民が逆らえないのは以前からではあったが、貴族の中でも身分格差が現れ始めた。
やがて貴族ならではの伝統や格式が構築され、身分格差に厳しい時代がやって来る。
平民は奴隷のように扱われ罵られる日々。貴族間でも下流だの上流だのとお互いの立場を主張し合っていた。
そして今からおよそ四十年前、原因不明の魔物の大襲来が起こる。
四大貴族を中心に襲い来る魔物を駆逐するが、空からやって来る魔物に大苦戦し、世界は崩壊の危機に陥った。
そこで各王国で活躍して見せたのが、天の雷(いかづち)を操る魔法使い達だった。
地上は四大属性の人々に任せ、空からの襲来は常に独壇場であった。
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