杖の王子聖杯の姫に会う?

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 次の日、サフラン姫は出てこなかった。 「あの、サフラン姫は、普段はあんなお方では、無いんですよ……」   そう、緊張ばかりするメイドが話してくれた。 「十五年前の婚約を知った時から、その人に会ったら、絶対お断りすると、はりきってらっしゃったとか」 「……」 (それって、嫌われてるだけなのか?)  バストンはそう思ったが。 (でも、このメイドを完全に信じていい物か?) 「バストン様、あきらめるのなら今のうちです」  メイドは強くブレーズに言う。 「……」  ブレーズは固まった。 「考えておいてください」  そう言いメイドはいなくなった。 「ブルシャ?」  部屋から出てきたブルシャを手招きするサフラン。 「うまく行った?」 「はい、これで考えてくださるでしょう」  二人は笑っていた。 「どうするバストン?」 「どうするもこうするも、聖杯の国はよくても、杖の国は滅びるんだぞ! 今さら変えられるか?」 「そうだよな」  ブレーズが落胆する。  王宮をうろうろしていると。 「そろそろ、占いの時間ですわ」  そう話をする女の貴族がいた。 (占い?) 「あの?」  バストンは、女の貴族に声をかけた。 「何でしょうか?」 「この宮殿は、一日一回巫女様が未来を占うのです」  尚も優しい口調で貴族の女は言う。 「そうですか、ありがとうございます」  貴族の女は、ドレスの裾を持ち軽く会釈した。 「あの女の人、きれいだな」  ブレーズが鼻の下を伸ばしている。 「ああ」 (サフラン姫と性格が大違いだ) 「しかし、占いか……」 「そういうのは、杖の国にはないよな」 (珍しい、見たいかもしれない)  不思議と好奇心がわいた。 「見に行こうぜブレーズ」 「おう」  そう言い二人は占い場へ行こうとした。  しかし、占い場は男子禁制であり、他国の者は入れないと言われた。 「ちぇっ! 少しぐらいいいだろ」  門番に食いつくブレーズ。 「ブレーズ! やめろ!」 「バストン……」 「あんまり、しつこいと女々しいぞ」 「! バストン、女々しいはないだろう」  ブレーズの体型は大柄で、図体がいい、とても女々しく見えないのだ。 「あっサフラン姫」  二人は陰に隠れた。 「こんにちは、皆さん」  女の人達にあいさつをしている。  その姿は、とても美しく、とても優しい雰囲気だ。 (本当に昨日の女と同じ女なのか?)
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