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バストンの部屋にさらに新聞が届いた。
『逃げる杖の騎士、その理由は?』
『ディアデム様が力を失くす?』
『国民の悲痛の声』
三部の表紙にそう書いてあった。
『私は、力を失いたくないし、杖の騎士の事嫌いじゃないの、だから今すぐ結婚したいのに、話を聞いてくれないの』
とディアデムが答えている記事まで。
(あの女)
「ブレーズ?」
この甘だるい声は、ディアデムの物だ。
「あけて?」
どうやらドアの前にいるようだ。
「嫌です」
「恥ずかしがってないで、話を聞いてよう」
「いやです」
(恥ずかしがってなどいません)
バストンはそう思ったが、ディアデムが気になる。
しばらくして。
(もういないよな?)
そう思いドアを開けると。
「ばあ!」
と驚かしてきた。
(うわ!)
ドアを閉めようとした。
「待って、私達、お互いの事を知らないでしょ、だから私の仕事、見てもらおうと思って」
ディアデムはドアに腕をはさみそう言う。
「わかった」
女の扱いはよくわからないので、一応返事した。
「占い場で、隠れて見ていてください」
「はいはい」
そう言い、占い場に連れて行かれた。
「ディアデム様?」
「ディアデム様!」
どの人もディアデムに祈りをこうポーズをしている。
「みなさん、悩み事を解決しますよ」
「「ありがたいです」」
「いいえ」
一人目はおばあさんだった。
「大丈夫ですか、腰が痛そうですね」
そう言いおばあさんの手を掴み、優しくリードするディアデム。
「さすが、ディアデム様ですわ、誰にでも優しい」
そう、女の人が言う。
(役作りじゃないのか?)
バストンは、化ける女を散々見て来たので、こんなことでは信じたりしない。
「おばあさん、占いによると、西にいい医者がいるみたいです」
ディアデムはそう言い、近くにあった地図を取り出し、赤いペンで丸を付ける。
「ここです」
「ありがとう」
「いいえ」
ディアデムは優しげに笑い次の人がディアデムに質問する。
「彼に好きな人がいるか知りたいの」
中流階級の貴族の女のようだ。
ドレスの布の高級さでそのぐらいは分かる。
ディアデムは、水鏡を覗いた後。
「そうですね、残念ながら、今はあなたより、年上の女性が好きみたいです。でも、あきらめないで下さい、男心は、すぐ変わることもあるのですから」
「そうですか……」
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