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次の日にディアデムの祈祷が終わった。
バストンは走って占い場に行った。
「ブレーズさん」
巫女は喜んだ。
「ぜひ、キスしてあげてください」
目を閉じて血色の悪い顔をしているディアデム。
美しい死体の様だった。
自然とディアデムの唇に唇を重ねた。
そうすると、血色の悪かった顔は、色を取り戻し。
「ブレーズ?」
いつもの愛らしいディアデムの声だった。
「よかった」
よくわからないディアデムは口に残る暖かな感触に赤面する。
「ありがとう」
「い、いいえ」
バストンも声が裏返る。
「なんて初々しいのかしら」
大人の巫女が喜ぶ。
照れる二人。
「ブレーズ、ごめんね、私より婚約者がいるんでしょ」
「……まあな」
「まさか、その人の事好きじゃないの?」
「ああ」
ディアデムは、また唇に手を当てて。
「じゃあ、私達初めてだったのかな?」
「……」
バストンは真っ赤になり、うつむいた。
「うれしい」
ディアデムは、とてもかわいく見えた。
(ディアデムが婚約者だったらよかった)
そう思った。
「さあ、ディアデム様、王宮に戻りましょう」
そう言われ、立ち上がるディアデム。
「ブレーズ様、ありがとうございました」
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