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バストンの部下、ブレーズと言う男は筋肉質の大男だ。
「バストン、元気がないな」
「そうか?」
バストンは苦笑いしてそう言う。
「何を悩んでるか知らないが、自分に聞くのが一番だ。相談相手を間違えると、大変なことになるぞ」
「あ、ああ」
頷いては見たものの、何も浮かばない。
「ブレーズ、お前、女ってどう思う?」
「何かうるさいし、弱いけど、少しいいなと思う」
そうブレーズは答えた。
「そうだよな」
「まさかバストン、婚約者の女の他にいい人でもできたか?」
「なぜ、そうなる?」
「なんとなくな」
「違うんだ、私は、その婚約者の女を知らないんだ」
バストンは勢いに任せてそう言った。
「はあ?」
ブレーズは、不思議そうな顔をした後に。
「お前、顔も知らない女と婚約したのか? 婚約って好きな者同士がする事だろ?」
「平民はな」
バストンは、ブレーズの世間知らずな所は嫌いではない。
「王族はかわいそうだな」
――かわいそう?
バストンは、そう思う事がなかったので、不自然に感じた。
「どうした?」
「なんでもない」
「そうだ! バストン、その女の事好きに成れば良いんだよ」
ブレーズが変な提案をして来た。
「会いに行けばいいんだ」
「!」
そこで、バストンの何かが切れた。
バストンは馬小屋へ向かった。
「今すぐ馬を出してくれ」
「バストン様! いけません、今は王の許可なく――」
バストンはもう馬に乗っていた。
「ブレーズ様まで」
ブレーズは、バストンを追った。
「ブレーズ!」
ブレーズが見えたので、呼んでみた。
「バストン、行こうぜ」
「ああ」
二人は聖杯の国まで、五時間かけて向かった。
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