杖の王子聖杯の姫に会う?

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 そして次の日。 「王宮へ行く道を探しているのですが」 「お兄ちゃん達、貴族の様ね、王宮へ何の用なのかい?」 「えっと、姫様に会いに」 「ブレーズ!」 「あんた達も、サフラン姫のファンかい?」 「サフラン?」 「そう、サフラン姫さ」  年を召した女の方は嬉しそうに言う。 「サフラン姫は、美しい姫で評判もいいからね?」 「そうですか」  バストンは、少し安心した顔つきをした。 「でっ! どうやったら会えるんだ」 「無理だよ、王族がいいって言わなきゃ入れないさ」 「良いって言ったら入れますか?」 「ええ」  女の人は、戸惑いながら頷いた。 「どうするんだよ、バストン」 「忘れたのか? 私は、姫の婚約者だ」 「そうだったな、つまり顔パス?」 「違う、お前これ持て」 「ええ! これって」 「そう言う事だ」  バストンは珍しく怖い笑顔を浮かべた。  ブレーズに渡したのは、王族の証の火のメダルだ。 「まじかよ、バストン」  ブレーズは今、バストンの身代わりで王子にさせられそうなのである。 「いくら、恥ずかしいからってそれはないだろ」 「はずかしいんじゃない」 (怖いんだよ)  心の中ではそう言うがブレーズに弱みは見せられない。  馬を走らせ王宮へ向かう。  街を駆け抜けると王宮が見えてきた。 「これが王宮か?」  ブレーズが感心している。  それも無理はないだろう、高さは五十メートル位ある、超巨大な王宮だ。 「バストン、やっぱり俺――」 「がんばれよ、ブレーズ」  バストンはブレーズの肩に手を置き、不敵な笑みを浮かべる。   門番は。 「見ない顔だな? 何者だ?」 「俺は、杖の王子だ!」  そう言いブレーズがメダルを出す。 「失礼しました」  門番は、急いで門を開けた。 (バストン?どうしよう) (ばっちりだったぞ、ブレーズ)  と小声で言った。  王宮を歩いている。 「お、お客様ですね」  と、とても緊張して声を掛けて来る女のメイドがいた。 「はい」 「客間へどうぞ」 「はい」  バストンが返事をしている。 (ブレーズ、もっと王子らしく) (だって?俺、王子じゃないし?)  と小声で言っていた。 「どうなされました?」 「「なんでもございません」」 「?」 (怪しまれた?) 「では、こちらが客間です」  と言い、金の装飾の部屋に通された。 「ありがとうございました」 「い、いえ」
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