第1章

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桜が咲き乱れるこの季節。 花粉症の人ならくしゃみと鼻水が止まらなくなる季節。 でも、私には関係ねぇです。 私こと、樋川瑠花は新学期が始まってしまった学校の門の前でため息を付ながらこういった。 「地獄の学校が始まってしまった…」 と。 (今からでも間に合う…回れ右をして帰ろう…) なんて考えてると、後ろからとん、と背中を押された。 「おはよう瑠花!今日はちゃんと学校来たんだね!偉いぞ!」 私の一応の友達、柑崎紫苑が幼さがいつまでも残る笑みで頭を撫でてきた。 「やめろ…」 片手で紫苑を払い除けると、顔を膨らませて文句を言った。 「まぁまぁ。」 私と紫苑の間に入ってきたのは、父がイギリス人のハーフで紫苑いとこの二本柳譜流。 「時間がなくなるぞ~」 ゆるゆるとした口調で聞いていると眠くなる声を聞きながら時計を見ると時間は8時ちょうど。 「入るなら早く入ろうよ!」 グイグイと紫苑は私の背中を押して来た。 「いや…その、まだk」 「はいはい。」 このやろう…せめて最後まで言わせろよ。 「皆来てるかなぁ~」 「瑠花じゃないんだから皆来てるよ。」 「だよね!」 悪かったな、ニートで。 そう、皆さんお察しの通り私は去年までずっとニートだったのです。 二人の会話を聞きながら教室の扉を開けると教卓でふざけあう男子や机の上に座って悪口を言い合う女子の他に、4人もいるのに目立たない人達がいて、こちらに気づくと手を振ってきた。 「おぉ、瑠花。新学期最初に登校できたのか。」 地味にイラっとする発言をしたのは神楽坂夜宵。ちなみに昔からの幼なじみだ。 「瑠花おはよう!元気ないね!」 元気に挨拶をしてきたのは平野麗花。 「元気がないのは元からだ。」 ため息を付ながら言うと「そっかぁ~」と返ってきた。 「にしても瑠花ちゃん遅れてこないのは珍しいね~。」 「それな。」 誉めてるのかよく分からない事を言ったのが、櫻田楓。それに相槌を打ったのが、風峰香。 「まぁ、やっと来てくれる気になったんだから、誉めてあげないと。」 そうだそうだ。ニートが頑張ってこんな学校に来てるんだ誉めてくれよ。 そういおうとした瞬間チャイムがなった。 「じゃ、また後でね!」 そう言って皆が席についた。 それと同時にドアが開いて新しい担任が入ってきた。 それはあの綱川だった。 「これが地獄か…」 と私は小さく呟いた。
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