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翌日、図書館に寄ってカウンターに顔を出すとサオリさんがいた。
お互いに、あ、という顔で、
「きのうは筍をご馳走さまでした」
「いえいえ、それよりウワサがたいへんみたいね」
と挨拶をかわした。
「わたしあと30分くらいであがるから、お茶でもどう?」
「なんか情報あるんですか?」
「うーん、解決にはならないかもしれないけど」
「じゃあ、R書架の辺りにいます、調べたいこともあるんで」
「オッケー、終わったら声かけにいくね」
雅さん、もう声をかけておいてくれたんだな。
調べものをしていると、カシャと写真を撮られる音がした。
…またかよ、
ぼくの写真でご利益があるってどーやったら信じられるんだろう。
きのう消えたはずのもやもやがまた戻ってくる。
「これ待ち受けにどうかな?」
足音が近づいてきて言った。
画面には書架に立つぼくの姿。
「逆光でだれかわからないですね」
ぼくはそう言って、ネクタイを引いた。
しまった、という顔から眼鏡をとって、舌のからむ口づけをする。
気の紛れるまで。
ふざけすぎた雅さんが悪いです。
この後の仕事に支障がでればいい。
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