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「笹本くん、ご利益ありますよ～」
ウワサの出どころなんて、こんなものなのだ。
恋の実った嬉しさで、わたしたちは盛り上がっていた。
それを、聞いた誰かが誰かに話していくうちに、
「うん、なんか存在がありがたい」
「写真待ち受けにしようかな」
「歩くパワースポットだね」
となったわけだろう。
山内さんから、
「笹本がパワースポット扱いされてるウワサ知りませんか？」
と言われて、すごく、申し訳ない気がした。
ごめん！笹本くん！
でも、わたしたちに悪気があったわけじゃない！
申し訳ないので、
「山内さん、いま、笹本くん二階に来てますよ、すごく会いたそうでしたよ～」
と教えてあげた。
そお？と、バレバレなそっけないふりをしながら、そそくさと上がっていくあたり、愛されてるなあ、笹本くん。
でも、笹本くん自身の「理由はわからないけどありがたい感じ」がなければ、館長までにひろがるウワサにはならなかったとおもう。
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