さくら

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テーブルのイスは二つしかないので、相澤先生と幸が座り、おれは流しにもたれて立った。 ああ、コーヒーが五臓六腑にしみわたる。 「ちゃんと好きなひとで、だから、覚えてないって言うのも言われるのも嫌で…」 相澤先生は、きのう、大学時代の友人の結婚式に出席したそうだ。 で、二次会三次会…のちのラブホ。 「どう行動するのがベストなんでしょうか師匠!!」 机ごしに相澤先生は幸の手を握る。 「相澤さんっ!頼ってもらうのはうれしいんですが、ぼくそんな経験豊富でもないですよ」 「えええ、」 幸は相澤先生に優しい。 とゆうか、基本的に女性に優しい。 困っているふたりに、ここは年長のおれが助言を与えよう。 「男はよく記憶にないって言うけど、あれは9割うそですよ」 おれは右手を上げて主張した。 「だから、男に聞いてみて、覚えてないって言ったら脈なし、覚えてるって言ったら脈ありです!」 「それほんと?」 幸が疑いの眼差しを向ける。 「って、柳田さんがこの間、女子学生の相談に答えてた」 「…柳田さんが言うなら、そうなのかなあ」 相澤先生、おれのこと信用してないんですね…
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