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…――気付けば、オレの『世界』は『音』で溢れていた。
オレの『能力』に気付いた両親は表面で笑っていたが『心』は『化け物』と蔑むようになり、『独り』になった。
『独りの世界』は割と良かったと思う。
オレに懐いた動物達は皆無垢だったし、『醜い音』を聞かずに済んでたから。
だけど、『独り』じゃなくなった。
「本家が本家の子供と歳の近いお前に遊び相手になってもらいたいそうだ」
父はオレに告げる。
『化け物』を追い出したい両親の『心の音』は聴こえていたから、
「分かりました。お世話になりました」
手短に別れを告げて、柚木の家へ。
柚木の家は『優しい音』と『明るい音』で溢れてた。
「楽くんだね?我々の我が儘聞いてもらって済まなかった」
「いいえ」
柚木の当主様から聴こえる『音』は暖かい。
そして、
「「お父さーん、お兄ちゃん来たってホント!?」」
離れから走って来た初めて会うオレの従兄弟達。
「こらこら、後できちんと紹介するといってあったろう?」
「「ごめんなさ~い」」
男女の双子なのに『同じ音』を奏でていた。
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