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「「はじめましてー」」
「柚木藍蓮です」
「同じく柚木華蓮です」
「「よろしくねー、お兄ちゃん」」
オレを気味悪がることもなく屈託のない双子の笑顔に初めて『居場所』を見つけた。
「オレは…楽。小牧楽だ、よろしくな?」
それからオレ達はいつも一緒だった。
たまに藍と華は『二人』で『話す』から注意したり、遊んで勉強して、成長していった。
そんなある日、事件は起きた。
いつものように三人で雑木林で遊んでいた時だった。
走り回ってる地面の『音』が変わった直後、華が立っていた地面が崩れた。
「「華っ!!」」
オレは無我夢中で手を伸ばし華を掴み抱え、庇うように落ちた。
落ちていく途中、右まぶたを枝で切ったらしくて赤い色しか見えなくなったのを覚えている。
その後、大人を呼びに行った藍のお陰でオレと華は救出された。
オレが目を覚ましたのは翌日。
「楽っ!!すまない、ありがとう」
当主様にきつく抱きしめられた。
「怖かっただろう?楽もバカ息子達も無事で良かった」
当主様から聴こえる暖かい『音』にオレは初めて泣いた。
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