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その後、当主様から右目はまぶたを深く切ってしまい、眼球も傷付いていてダメになってしまったと聞いた。
華を守れたのだから仕方ないと割り切ってると当主様に告げると叱られてしまった。
夕方、オレの部屋を恐る恐る藍と華が覗く。
「「お兄ちゃん……」」
2人揃って捨てられた仔犬の顔で覗いているものだから、つい笑ってしまう。
手招きして呼べば縮こまるようにオレの脇に座るものだから可哀相な気がしてきた。
「華、怪我はない?」
「……ひざ、すり傷だけ」
泣きそうになりながら答えた華の頭を撫でる。
「顔を怪我してなくて良かった…藍、怖かったのに大人を呼びに行ってくれたんだな。偉かったぞ」
「…ん。怖かったよ…」
藍も泣きそうな顔だ。
オレは2人を抱きしめてあやすように背中を軽く叩く。
「しばらく遊べないけど、大人の言うことをちゃんと守ること。それから言いたいことはちゃんと口にすること。守れるな?」
「「うん――…」」
「…――ちゃん、楽兄ちゃんっ!!」
「……んー?」
「さっきから呼んでるのにっ、全然起きないんだからっ!!」
どうやら昔の夢を見てたらしい。
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