第1章

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「取り引き?」 「そ。取り引き」 片肘ついて、私の顔を覗き込む。 無駄にイケメン。 肌がきめ細かくて、鼻も高い。 目は少し切れ長。 そういえば私は、槙田の顔をしっかり見たことがなかったかもしれない。 「どした?槙田先生の顔、なんか付いてる?」 「いえ、何も…で、取り引きって?」 「あぁ。部活って休みいつ?」 「水曜ですけど」 ズズッ あ、バナナオレ終わった。 「そーれ」 「はい?…これ?」 槙田の細い指は、私のジュースを指差して。 「毎週水曜の放課後。俺に時間ちょうだい?その代わり、バナナオレあげる」 その顔はやっぱりニコニコしてて、真面目なのかふざけてるのか、私には分からなかった。
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