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「好きです…!」
季節は夏になろうとしていた。
それでも風通しの良い程に短いこの黒髪は、そよ風で充分暑さをしのげた。
もう日常と化した光景に私は臆する事無く言葉を紡ぐ。
「すいません。恋愛ごとには興味がないので」
スカートを揺らしながら走っていく後ろ姿を特に気にもしない。
知らない人。
同性。
どうして敗戦が分かりきっているのに、そんな事をするのか。
という考えも、
体育館から聞こえるスキール音や
転がってきたバスケットボールによって頭からすっきり消え去っていた。
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