第1章

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「海里!」 体育館の匂いはすごく好き。 冷めていると言われる性格の熱は、全てバスケに吸収されてしまったのかもしれない。 私の名前を叫んだ男は、蜂谷ゆずる。 通称ハチ。男バス。アホ。声も身長もでかい。 そして、1年にしてエース。 茶髪は自毛らしい。 「海里、またコクられたろ!?」 「ハチには関係ない」 「なんだよっ!つかお前、「西ノ宮来たかー!」 ハチの声は監督の声に遮られた。 お爺、って言われてる。歳だから。 オレンジ色のエナメルバッグをかけ直すと、お爺の元へ急いだ。 「レギュラー、おめでとう」 「えっ」 「西ノ宮!おめでとう!」 「「フゥー!!!」」 お爺の言葉に女バスの主将が続いた。 一斉に部員が私を囃し立てる。 待って、レギュラー…本当に? 「海里良かったな!さっき俺がそれを…いでっ!!」 「バカタレ!なぜ蜂谷が言おうとするのじゃ!」 うれしい。 色々込み上げてくるこの状況でも、後から聞けば無表情だったとか。
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