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「海里!」
体育館の匂いはすごく好き。
冷めていると言われる性格の熱は、全てバスケに吸収されてしまったのかもしれない。
私の名前を叫んだ男は、蜂谷ゆずる。
通称ハチ。男バス。アホ。声も身長もでかい。
そして、1年にしてエース。
茶髪は自毛らしい。
「海里、またコクられたろ!?」
「ハチには関係ない」
「なんだよっ!つかお前、「西ノ宮来たかー!」
ハチの声は監督の声に遮られた。
お爺、って言われてる。歳だから。
オレンジ色のエナメルバッグをかけ直すと、お爺の元へ急いだ。
「レギュラー、おめでとう」
「えっ」
「西ノ宮!おめでとう!」
「「フゥー!!!」」
お爺の言葉に女バスの主将が続いた。
一斉に部員が私を囃し立てる。
待って、レギュラー…本当に?
「海里良かったな!さっき俺がそれを…いでっ!!」
「バカタレ!なぜ蜂谷が言おうとするのじゃ!」
うれしい。
色々込み上げてくるこの状況でも、後から聞けば無表情だったとか。
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