第1章

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声の主はハチだった。 「ほら蜂谷くん、僕は一応先生だから学校では槙田先生と呼びなさいっ」 「あ、そか!でもいいじゃん、もう放課後だよ?」 「まぁそれもそうだな。ゆずる、送ろうか」 「やりぃ!ほら、海里も!!」 「え?あ、うん」 目まぐるしいやり取りについていけないでいた私は、気づいたら槙田先生の黒のAquaに乗り込んでいた。 「あれ?海里に言ってなかったっけ?俺、マキちゃんと従兄弟だよ!」 「こらゆずる、後ろでもシートベルトしなさい」 あぁ、先生を見て似てると思ったのはハチだったのか。 目を擦ると、視界が少しぼやけた。 「そう」 「海里、眠い?」 「うん、ちょっと」 「俺にもたれていいから、寝てな?」 「…ん」 微睡む景色の中、ニカっと笑ったハチが薄く見えた。
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