第1章

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次の日は土曜日で私は午前に部活だった。 昨日とうってかわって、そよ風すら無い上に照り付けるような日差し。 ハチも私もひぃひぃ言いながら体育館に向かう。 「西ノ宮くん、おはよう…!」 「おはよう」 「きゃっ!か、返してくれた!!」 「良かったねミユー!」 何で顔赤くしてるの。 私は女です。 それを隣で見てたハチはそりゃあニヤニヤもので小突いてくる。 「よかったな!にしのみやく、んっ♪」 「ハチ殴る」 こんなのが日課なんて、ここの生徒はどうかしてるんじゃないだろうか? だってここは共学で、 そこそこ男子だってイケメンがいて、 なのに何故女の私を選ぶのか? ピピー 「礼!」 「「ありがとうございました!」」 試合形式の練習は3本目に突入していた。 いい汗。 今日はすこぶる身体の調子が良い。 「西ノ宮、次の試合なんじゃが、来週の練習試合、スタメンで出てくれるかの?」 「っ!」 スターティングメンバーの略。 スターティング。つまり、始めの5人に入れるということ。 「キャプテン、私頑張ります」 「当たり前だ!」 グリグリ頭を掻き乱されキャプテンは去っていった。 照れ臭くて顔が上げられない。 「海里!ジュース買いに…っえ?顔赤く…」 「ゴホンッ…行こう」 私らしくない。 嬉しくて緩みそうになる唇を固く結び、ハチの頭を軽く叩いて姿勢を正した。
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