prologue.

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とても穏やかなとある日の午前9時半。 店主が丁寧にグラスを拭き上げて日の光にかざす。 ガチャ・・・ シャラララ・・・ と、銅で出来た「稲穂」の束が控え目な音を立てて客を迎え入れる。 「いらっしゃいませ」 「みのるさん、おはよぉ・・・」 眠そうな眼の女性が入ってくる。 「おはようございます。長瀬さん」 にっこりと微笑みながら長瀬を定位置のカウンター席に絆す。 「ふあぁぁぁ。みのるさん【いつも】のちょうだい」 「かしこまりました。少々お待ちを」 みのるはそういうと奥のキッチンに目配せをする。 そして、珈琲を淹れる準備。 長瀬は気怠そうにカウンターに肘をつき頬杖をしみのるを見る。 暫くすると奥のキッチンから香ばしい香りが漂ってきた。 長瀬の前からも挽き立ての珈琲豆の香りがしてくる。 「はぁ~いい香りぃ~珈琲の香りで目が覚めるぅ~」 「昨日は徹夜だったのですか?」 「そー。さっき終わったのよぉ~」と、長瀬は大欠伸をする。 「では、珈琲は少し薄目にしましょうね」 「さっすがぁ~気が利くわぁ~ありがと~みのるさん」 .
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