64人が本棚に入れています
本棚に追加
とても穏やかなとある日の午前9時半。
店主が丁寧にグラスを拭き上げて日の光にかざす。
ガチャ・・・
シャラララ・・・
と、銅で出来た「稲穂」の束が控え目な音を立てて客を迎え入れる。
「いらっしゃいませ」
「みのるさん、おはよぉ・・・」
眠そうな眼の女性が入ってくる。
「おはようございます。長瀬さん」
にっこりと微笑みながら長瀬を定位置のカウンター席に絆す。
「ふあぁぁぁ。みのるさん【いつも】のちょうだい」
「かしこまりました。少々お待ちを」
みのるはそういうと奥のキッチンに目配せをする。
そして、珈琲を淹れる準備。
長瀬は気怠そうにカウンターに肘をつき頬杖をしみのるを見る。
暫くすると奥のキッチンから香ばしい香りが漂ってきた。
長瀬の前からも挽き立ての珈琲豆の香りがしてくる。
「はぁ~いい香りぃ~珈琲の香りで目が覚めるぅ~」
「昨日は徹夜だったのですか?」
「そー。さっき終わったのよぉ~」と、長瀬は大欠伸をする。
「では、珈琲は少し薄目にしましょうね」
「さっすがぁ~気が利くわぁ~ありがと~みのるさん」
.
最初のコメントを投稿しよう!