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わざと、だね。
察しのいい彼はきっと
さっき私が考えた企みに、気づいたのだろう。
本当は、私が誰よりも一番好きなのはあなただってこと、知ってるくせに。
私にはあなた以外いないって知ってるくせに。
私が質問なんてしちゃいけなかったんだ。
あぁ、そうか。
あのお決まりのセリフはあながち間違いではないのかもしれない。
誰にも愛されないわたしのことを
いちばんすきでいてくれるのは、たしかにあなたかもしれない。
でも、あなたがいちばんすきなのはわたしではない。
悔しいことに。
哀しいことに。
……。
“いつか王子様が”
そんな甘い夢は
全部嘘っぱち。
ビールの泡みたいに、消えちゃえばいい。
【了】
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