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時計の針が12時を指すのを、ひとりぼっちで眺めるのも、もうすっかり慣れてしまった。
彼のために用意した缶ビールは、冷たすぎるくらいに冷えていて
冷蔵庫の中から静かにその存在を主張しているようだ。
私はお酒が飲めないから、ペットボトルのお水だけを取り出して、それらの缶に別れを告げる。
彼は今日もまた嘘の急用。
彼も、私が彼の嘘に気づいていることを知っている。
そして、それに対して何も言わないことも。
彼にとって私は、きっと、ただの都合のいいオンナ。
彼女役として利用価値のある便利なオンナ。
彼女という肩書きはただのお飾りで
そんなの誰も気にしない。
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