いつか王子様が

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彼は誘われるまま夜な夜な街へ繰り出していく。 彼がそこで何をしているかなんて知らない。 他の誰かと寝たなんて知りたくもない。 でも、例えば彼が誰かと寝たと聞いても 私はきっと何も言わない。 “他のオンナを触った手で触れないで” そんなことを彼に言えるほど キレイな身体をしているわけでもなくて。 それに 好きだとか、私だけを見てだとか、そういうことを言ったりして 面倒くさい女だと思われて捨てられるほうが、よっぽど嫌だから。 結局のところ、何も言わない、ではなく、何も言えないだけ。
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