優しく突き放す甘い声

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読み返すたびに、あの頃の彼のふわりとした笑顔と、少し高めの声が思い出される。 思い出は美化されるものだとわかっているけど。 彼のことを思うと、どうしても気持ちが高ぶるのを抑えられない。 今年のメールは “じゃあ、残りの誕生日を楽しんで” そんな優しい言葉で締めくくられていた。 とてもとても待ち望んでいたはずなのに 最初にこの一文を読んだとき、鼻の奥がツンとして、小さな哀しみのため息が漏れた。
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