優しく突き放す甘い声

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だって、今日はもう、あと3時間で終わるというのに。 今から何を楽しめと言うのだろう。 横に誰かいるとでも? 今日も明日も仕事で、隣には誕生日を祝ってくれる家族も彼氏もいない。 ひとりで小さなケーキを食べるだけの質素な誕生日。 あたしが仕事を終えて帰る時間には、洋菓子店はもうどこも閉まっていて。 唯一買えたコンビニの安いケーキは、生クリームがやけに甘ったるくて胸やけがしそうだった。 あたしが楽しみにしていたのは……。 この四角い画面に届けられる、あなたからの言葉だったのに。
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