優しく突き放す甘い声

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別にひとりの誕生日を惨めだとか思っていない。 寂しいとかそういうのでもない。 ただ、虚しいとは思う。 それは、ひとりで過ごすことが、ではなく。 他の誰かと楽しく過ごしてと平気で言える彼を、待ち焦がれていたことが、とてつもなく虚しい。 彼から毎年届く優しさは、とても甘くて、あたしの心を掴んで離さない。 それと同時に、なぜかいつも、どこか突き放された気分になってしまう。 考えてみたら、メールの結びの言葉は返信さえも求めていない。 だからあたしは「ありがとう」程度の言葉しか返信ができない。 近況なんて聞かれていないし、長い返信は鬱陶しいだけ。 そもそも惰性で送っているのかもしれない。 だけど。
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