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「ていうか…『猫の時』って…?」
「…ホントに何も知らないんだ。飛鳥が説明…するわけないか…」
そう言って、ハァとため息を吐いた。
「特別に、僕の昔話をしてあげるよ」
~鈴音~
僕は昔、猫だった。貧しい家に生まれた。
生活が苦しくなっていくにつれ、その家の主人は自分の子供に
暴力をふるうようになっていった。
その暴力は、僕にも向けられた。毎日毎日、蹴られる日々だった。
僕はある日、耐えられなくなってその家を抜け出した。
その時、拾ってくれたのが魔王様だったんだ。
その後、僕はもう弱っていたからすぐ死んじゃったんだけど、
魔王様が魔物にしてそばに置いてくれた。
嬉しかった。僕でも、魔王様のお役にたてるんだって…!
魔王様は、僕みたいな動物や人を救うつもりなんだ。
そのために、虐待してるやつ、見て見ぬふりをしてるやつを殺す!!
~元~
「っていうわけ。
僕が、君たちに最初から会いに来たのは…
魔王様が澪のことをよく知ってる人だから」
「俺のことをよく知っている奴…?」
「まあ、これからどんどん敵が現れるよ~。
人間も、動物も…」
-つーことは、子供もいるのか?
飛鳥はさっきからだんまりだし…。
ていうか…魔王って誰だよ!?
もんもんと考えこみながらも、歩きだした。
~in七階廊下~
八、九階は下級しかいなく、鈴音を見ると逃げていく
ものばかりだった。
残りは、澪が踏んで倒していたが。
「この階もそんなだったりするのかな…」
そう飛鳥がつぶやいた。
ドンっ!!!!
「え!?何事!?」
「飛鳥!できたぜ!!どこでもドア!!これで一気に一階までいけるぜ!!」
さあ、これで一気に行こうと思った瞬間、
ドアが粉々に砕け散った。
「そんな簡単にいかせませんよ」
声のほうを見ると、白い髪に切れ長の目が印象的な男が立っていた。
その男の顔の右側は焼けただれており、目の周りには
不思議な模様が描かれていた。
「まったく…。鈴音ももうちょっと真剣にやってください。
申し遅れました。私はリアと申します」
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