第1章

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「無駄って」 「打っても点につながらへんかったら、それは無駄なことやろ」 「何でそんな悲しいこと言うねん。昔はそんなんやなかったやろ」 「昔は昔、今は今や」 「まあ二人ともケンカせんと。タカもそんなん聞き流したらええやん。ケイイチは点に繋がるんやったらヤル気出す言うてるんやし」 「そういう問題やないやろ」 「そういう問題やって。ごちゃごちゃ言うても変わらんねんし、俺が解決するわ」 「そんな簡単に言うな。よしたかは何も考えてへんくせに」 「だから俺をアホみたいに言うなって」 「二人ともケンカはやめとけって」 「お前のことでこうなっとんねん!」 ここは二人同時に。 「まあ俺にまかしときって」 「あてはあるんか」 「ある!来週なったらほんま俺に感謝すんで!だからケイイチ、さっき言うたこと忘れんなよ!」 「俺の後が続くんやったらそらやったるわ。まあちょっとは期待しとくわ」 「ちょっとやなくて、大いに期待しといてくれ。俺のおかげで夢の1回戦突破やで」 「あっ、そうや」 そこで広島は違うことを思い出したもよう。 「タカ急にどないしてん」 「今日も負けてもうたからそのショックでみんなに言うの忘れとったわ」 「何を?」 「監督がな、とうぶん入院するみたいやねん」 「何やそんなことかいな」 「今日そういやいてなかったな。代わりにヤマセンが代理で来てたけど、誰も気にしてなかったやろ」 「いつもたいして来てないし、肩書きだけの監督やしな」 「そうそう。俺ら監督入院しても何も変わらんで」 「そうやないねん。何でか今回監督代理、それも正式な代理が赴任してくるらしいねん」 「マジでか!」 これには山口と琵琶湖も驚いたらしく、二人とも荷物を地面に落っことした。 「マジ、マジ。何か今週中には来るみたいやで。たぶん土曜の練習から参加するやろって監督が言ってた」
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