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            その日、見慣れないメールが携帯に届いていた。    朝早くから流れたメール着信音に、唸り声をあげながらベッドの中で寝返りを打つ。  気持ちの良い枕の感触を確かめながら、ベッドの脇の机から手元に携帯を手繰り寄せる。    パチリ。  まだ半分寝ている、その半開きの眼で確認すると、知らないメアドからのメールが届いていた。 「…何だよ…。こんな朝早くから、勧誘のメールかよ…?」  つぶやいた声は、少し不機嫌だ。  目元にかかる黒い前髪を左手でかき上げながら、少年はしぶしぶとベッドから身を起こした。  ベッドに腰掛けてから、右手に持ったままの携帯をもう一度見る。  知らないメアドのメールは見ない。何時もならそうしているのに、この日の朝は早くに起こされたせいで頭が回らないのか、少年はそのメールを開けてみた。 ≪ニューリリース!!  あなたも無料で、勇者気分を味わえる!!≫ 「新作ゲームの案内…?」    普通なら、サイトの広告にでも載っているようなゲームの画面が、小さく横スライドで流れていく。
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