6人が本棚に入れています
本棚に追加
テレビをつけると、五月蠅いぐらいにワイドショーのキャスターが早口で何事かをまくし立てている。
何時もならぼんやりと聞き流すしいなだったが、そのニュースの内容に、春香が差し出した皿を受け止める手を止めた。
『新しいSNSのゲームで、意識不明の人が多発しているとのうわさが流れております!これはいったい真実なのでしょうか!?』
「…は?」
しいなが手を止めたまま、テレビ画面を見て呟くと、春香はしいなの手の上に皿を乗せてから、同じようにテレビ画面を見つめた。
「携帯ゲームで、意識不明って…?」
春香の台詞には答えずに、しいなは両手で持っていた皿をテーブルの上に置くと、まだ湯気の立つスクランブルエッグを口に運ぶ。何時も通りの味で美味しい。
「変な話だね?しいちゃん。」
「…ああ。」
しいなの返事が短い事に春香は慣れているので、気にもせずに自分も椅子に座ると、笑顔で朝食を口にする。
しいなはテレビの中で話題が続いているのを耳に入れながら、自分に今朝届いた差出人不明のメールの事を考えていた。
―――確かに、ゲームのメールだったな。
テレビではまだ不明な点が多いらしく、そのゲームの題名までは報道されていない。
最初のコメントを投稿しよう!